そういうことか… なぜ“まともじゃない”管理職に限って出世していくのか?
提供:@DIME■連載/あるあるビジネス処方箋
「まともではない管理職」。
人事コンサルタントや労働組合ユニオンの役員らと取材で話し合う時、こんな言葉が出るときがある。部下をいじめたり、パワハラでうつ病などにさせたり、辞めさせたりする管理職である。問題行為を繰り返しておきながら、要領だけはよく、スイスイと出世することがある。今回は、まともではない管理職に限ってなぜ出世するのかを私の取材で得た情報をもとに考えてみたい。
■淘汰の仕組みがない
多くの企業には、仕事の能力や実績、素行、勤務態度などに大きな問題がある場合、その人が辞めていかざるを得ない仕組みがほとんどない。特に管理職になると、「降格」になるケースはきわめて少ない。管理職というポジションが既得権となり、いったんそのポジションになると、手放そうとしなくなる。
リストラがあったとしても、企業社会全体でみると、その数は決して多くはない。つまり、昇格してある程度の立場になり、権限を握ると、自分のことを棚上げし、やりたい放題が可能になる。そのことに、ほぼ全員の非管理職は何もいえない。企業内労組などは役員らに厳しく言うべきだが、なかなかいえない。
■そもそも、まともじゃない
パワハラやいじめ、退職強要などを繰り返す管理職は、そもそもまともではない。私が取材を通し、観察していると、この手のタイプは20代前半の頃から、強欲だった人が多い。自己顕示欲や権力欲、支配欲が強く、常に自己中心的だ。競争心や猜疑心も強い。
本来は好ましくないのだが、会社という組織では、それが"武器"になることすらある。反抗的な後輩をいじめて従うようにさせたり、上司に表面上は合わせながら、失脚することをひそかに願ったり。そして、自分がそのポジションに座ろうとする。自分を脅かす優秀な部下や後輩を他部署などへ追い出したり、辞めさせようとする。だが、本人には「悪いことをしている」という自覚はない。この人たちには、モラルや社会常識より、「権限」や「権力」という力こそが大切だと思っているのだ。
■空気が読めないのに読めると思い込んでいる
まともではない管理職は、自分が職場の空気を読むことができると信じ込んでいる。やりたい放題にして反感を買っていながら、トラブルメーカーは部下の側だと思い込んでいる。そして、狙った部下を「空気を読むことができない」と言わんばかりに攻撃をする。たとえば、1つずつの言動を茶化したり、小馬鹿にしたりする。
あえて皆の前でさらし者にする。本人が委縮すると、調子に乗り、攻撃をする。皆は御身が大事と言わんばかりに、だんまりを決め込む。空気を読めないのは自分なのだが、部下の側と信じ込むくらいの図太さがないと、大きな会社では役員になれないことも、否定しがたい事実だ。
■自分勝手なコミュニケーション論
まともではない管理職にとって「コミュニケーション」とは、自分の顔色をうかがい、意向に応じた言動を取ることだ。常に自分中心の体制を作ろうとする。他人を認めたり、褒めたりするのが苦手なのだ。劣等感をもっていたり、猜疑心が強く、人を信用しない傾向がある。
本来、「コミュニケーション」は、互いの言い分や考えを話し合い、妥協点や合意点を見つけていくものである。まともではないから、それ以外できない。この人たちの意識には「自分」はあっても「他人」はない。だから、一方的に話し、従わせることが「コミュニケーション」と思い込む。そのように思わないと、心が安定しないほど「かわいそうな人」でもあるのだ。
■後ろ盾がある
こんな人でも管理職をできるのは、後ろ盾があるからだ。上司である担当役員などである。要領だけは抜群にいいから、このあたりのことはきちんと心得ている。自分の背後に強力な味方をつけて、その威光を利用し、勢いづく。役員もまた、まともではない可能性がある。まともではない管理職はこんな処世術が上手い。
本来は、まともではない管理職は辞めるべきだが、さしたる実績もなく、社長になってしまう場合すらある。理解しがたいことだが、実際にある話だ。得てして「肉食社長」となり、優秀な役員などを次々に解任し、長期政権をつくろうとする。残念なことだが、会社の否定しがたい一断面なのだ。
文/吉田典史
ジャーナリスト。主に経営・社会分野で記事や本を書く。近著に「会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ」(KADOKAWA/中経出版)。
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