市販薬での薬物乱用頭痛にご用心 吉田聡
講師のホンネ頭が痛くて仕事にならない。こんな時に重宝するのは市販の痛み止め。最近は、今まで病院でしかもらえなかった成分の薬も市販で買えるようになってきた。そんな中、注意してほしいことがある。それは、痛み止めの使いすぎによる薬物乱用頭痛だ。
薬物乱用頭痛に罹っている人は、国内では約300万人といわれる。頭痛の中では3番目に多く、薬物依存の一つでもある。痛み止めを使い続けることで、本来頭痛を止めるはずの痛み止めが、逆に頭痛を引き起こす原因となる。3日に1回以上、痛み止めを飲んでいる人や、朝起きたときから頭痛があるので痛み止めを飲む人、痛み止めがだんだん効かなくなってきていると感じている人は要注意だ。
日頃から、私の薬局でもよく見かける。そうした人には痛み止めで対処をせずに、病院で受診することを勧めている。頭痛で受診する場合、最初に思い浮かぶのは脳神経外科だと思う。実は、薬物乱用頭痛の場合は、神経内科や頭痛専門外来を持っている病院の方がおすすめだ。コンピューター断層撮影装置(CT)や磁気共鳴画像装置(MRI)の画像で異常が認められないと、一般的な頭痛と判断されてしまうことがある。
では、薬物乱用頭痛を起こさないためにはどうすればいいのか? 市販の痛み止めを選ぶときに、薬の成分が一つだけ入っている痛み止めを選んでほしい。例えば、ロキソプロフェンやイブプロフェン、アセトアミノフェンといった痛み止めの成分が一つだけ入っている薬を選ぶとよい。痛み止めの多くは、カフェインやブロムワレリル尿素、アリルイソプロピル尿素といった複数の成分が入っている。これらは痛みが早く止まるようにしてくれるが、薬物乱用頭痛を起こしやすい成分だ。
薬の成分は箱の裏側に表示されており、薬局・ドラッグストアにいる薬剤師か登録販売者に気軽に相談してほしい。痛み止めを使いすぎないことも重要であり、そのために“1カ月に使う量は12錠入りの痛み止め1箱だけ”のように、痛み止めを使う回数を決めておくとよい。もし、超えてしまうようなら必ず病院で受診してほしい。
痛み止めは身近な薬だが、薬物乱用頭痛のような危険もある。正しく使って、身を守ることが大切だ。
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【プロフィル】吉田聡
よしだ・さとし 1977年大阪生まれ。薬局・なくすりーな管理薬剤師。延べ30万人の服薬指導に当たる中、その薬が本当に必要なのかに疑問を持ち、薬剤師の本質は「薬の引き算にある」という考え方にたどり着く。現場では、患者さんに寄り添いながら、薬を減らす服薬指導に定評がある。近年、「薬の引き算をする薬剤師」として、講演などでも活躍中。
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