「働き方改革」広がる兆し 2時間短縮や週休3日制…日産は在宅勤務も
経団連は2017年春闘方針で、過重労働の防止に向け経営者に強く自覚を促した。安倍晋三首相も力を入れる「働き方改革」は各社工夫を凝らして広がる兆しを見せる。ただ働いた時間ではなく仕事の成果で給料を支払う制度に労働側は「かえって残業が増える」と反発。悪質な長時間労働の事例も後を絶たない。
「過労死は絶対にあってはならないこと」「全社員の意識・行動を変えていくことが要諦」。経団連が17日発表した春闘方針は、働き方改革への意気込みが例年以上に伝わる文言が並んだ。
長時間労働をめぐっては電通、三菱電機の大企業で違法残業が発覚。安倍首相も「今年は働き方改革断行の年だ」と強調している。記者会見した工藤泰三副会長(日本郵船会長)は「長時間労働イコール成長の等式は成り立たない」と指摘した。
大手企業では生産性の向上や人材確保の面からも「働き方改革」が不可欠になり始めた。ユニ・チャームは今月からインターバル勤務制度を導入。午後10時以降の残業を原則禁止し、終業から次の勤務開始までの間隔を10時間以上空けるよう推奨している。ライオンは勤務時間をフルタイムに比べて2時間短縮でき、上司と相談して出社時間も調整できる制度を設けた。「育児と仕事を両立させたい女性社員の利用が多い」という。資生堂は育児や介護に伴う時短制度を導入した。
日産自動車は、勤務時間計8時間のうち、一部を在宅勤務にしたり、早朝と午後などに分けて勤務したりできる制度をつくった。IT大手ヤフーも介護・看護を行う社員を対象に4月から週休3日制の導入を準備。高齢化社会に対応する。
経団連が春闘方針で働き方改革の柱の一つに据えるのが「成果給」の実現だ。賃金を労働時間ではなく成果で評価する考え方は欧米では一般的で、時間に縛られず柔軟に働けると主張。既に導入に向けた労働基準法改正案が国会に提出されており、高収入の専門職を対象にしている。
しかし、連合や野党は「成果を上げようと長時間労働を助長する」と反対。電通問題などを受けて残業に上限規制を設ける動きが優先されつつあり、成立の見通しは立っていない。
厚生労働省は17日、過労死ラインの月80時間超の長時間労働が疑われる約1万事業所を昨年調査し、約4割で違法残業があったと発表。ある製造業では、残業時間を上限内に収めるため、従業員のタイムカードを上司が回収し、定時で打刻する不正をしていた。厚労省の担当者は「まだまだ長時間労働がなくなっていない」と、解消の難しさに顔をしかめた。
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