経団連・工藤副会長 連合・神津会長に春闘の争点を聞く
2017春闘2017年春闘は2月中旬、大手自動車や電機などの各労働組合が要求を提出し、本番を迎える。労使ともにデフレ脱却に向け賃上げの必要性では一致するが、賃金を底上げするベースアップ(ベア)では依然温度差はある。経団連で労働政策を担当する工藤泰三副会長(日本郵船会長)と、連合の神津里季生会長に春闘の争点などについて聞いた。(平尾孝)
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□経団連・工藤泰三副会長
■業績ベースに労使で議論を
--今春闘のスタンスは
「収益が改善したり、資本コストで一定の利益水準を超えている好調な企業は、景気の好循環を目指すためにも、賃上げすることを呼びかけた」
--連合は賃上げはベアにこだわりをみせる
「やれるべきところはやるべきだ。人が競争力の源泉となっている中で、ベアを実施し、いい人材を集めることが必要だが、赤字や大規模な減損を実施する企業もあり、ベアが困難なところもある。そういった企業は年収ベースでの引き上げを進めてもらいたい。その意味ではベアをめぐる対立軸はないと考えている」
--米トランプ政権による影響は
「自動車など、トランプ政権の政策変更で影響が懸念される業界や会社がある一方で、米国が財政規律を横に置いてインフラ投資の拡大などを進めれば、米国景気は好調で、その影響は1年は続くともみられる。トランプ政権の動向による先行きはわからない。どっちに転ぶかわからない中で、業績をベースに労使で議論していくべきだ」
--働き方改革としての春闘の側面も強い
「日本の根本問題は子供が少なくなったことだ。女性の活用を進めるには男性の育児参加は欠かせない。そういったことを経営トップがコミットメントして発信すべきだ」
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□連合・神津里季生会長
■ベアは大黒柱であるべきだ
--今春闘の位置付けは
「昨年は『底上げ春闘』を標榜(ひょうぼう)し、物価上昇がない中でもベア実現の成果を得た。この傾向を今年以降に引き継ぐ」
--経営側はベアよりも年収ベースを強調する
「ベアは柱の一つだと経団連は主張しているが、なくてはならない大黒柱であるべきだ。一時金よりも月例賃金の引き上げが消費拡大に効果を発揮するのは、政府の統計でも明確だ。デフレ脱却に向けた企業の社会的責任をいうなら、年収ベースの引き上げだけではその責任を果たしていない」
--中小企業の賃上げも重視する方針だ
「デフレ脱却は大手が賃上げで牽引(けんいん)しなくては進まない。サプライチェーン(供給網)で生み出した付加価値を大手が中小にも適正に配分し、賃上げ原資をつくることが必要だ」
--米トランプ政権誕生で自動車業界への影響が懸念される
「トランプ政権の影響に限らず、短期的な経営状況の悪化や懸念は、まず一時金で対応するべきだ。その上で、賃上げの勢いを止めてはいけない」
--長時間労働是正もテーマになる
「経営側のホワイトカラーエグゼンプションや裁量労働制には反対だ。年収1000万円を超えていても、過労死やブラック企業が悪用する懸念もある」
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