糖尿病予防 足の合併症、変形・変色に注意 気掛かりあったらまず診察

 
東京医科歯科大付属病院で開かれた糖尿病教室。糖尿病の合併症にも注意が必要だ

 糖尿病は、合併症として足の病気が起こりやすい。早期に治療を始めれば進行を防げるが、悪化して脚の切断という事態になるとその後の経過も悪いことが明らかになっている。専門家は、患者自身や周囲の人が普段から足の状態をよく見て、気掛かりなことがあったら、内科でも遠慮なく靴下を脱ぎ、医師の診察を受けるよう勧めている。

 「糖尿病の合併症としては神経障害や目の網膜症、腎臓病がよく知られているが、足の病気は見過ごされがちだ」と下北沢病院の富田益臣糖尿病センター長(糖尿病内科)は話す。

 富田さんによると、糖尿病患者が足の病気になるのは、神経障害と血行障害、感染しやすさの3つが大きな要因だ。

 神経障害によって感覚が鈍ったりしびれたりして、傷ができても気付きにくい。細い血管が傷んで、血流や代謝が悪化する。感染しやすく、傷が治りにくいのは免疫の働きが弱まっているためだ。「これらによって骨やアキレス腱(けん)の変形、筋肉の萎縮が起こる」という。

 足の病気になると、糖尿病の改善に必要な運動療法もままならない。病気が進行すれば、患部から壊死(えし)が広がっていき、最悪の場合には脚の切断を迫られることになる。

 こうした患者はほかの合併症も進んでいるケースが多く、手術で脚を失うだけでなく、手術後の経過も思わしくない。厚生労働省研究班が2つの病院で脚の切断手術を受けた患者を調べたところ、1年後にそれぞれ40%、55%の人が死亡。切断後に義足などを使って歩けるようになった患者はごく少なかった。

 では、どうしたら足の病気の兆候を見つけられるのか。

 大浦紀彦杏林大教授(創傷外科)は「痛みが出たり傷ができたりする前に、足の変化に気付くことが大切だ」と強調する。

 大浦さんによると、血行障害によって血の巡りが悪くなると皮膚が白っぽく、または紫色になる。痛みや傷に先行して、骨や関節の形が変わることも多い。「足が痩せる」「足の指が曲がって戻らない」「立ったとき足首が左右どちらかに傾く」「土踏まずのアーチがなくなる」などが典型的だ。変形で飛び出した個所には圧力がかかり、たこやうおのめができやすい。

 神経障害によって感覚が鈍ることも問題になる。「硬い物が当たっても分からない」「冷たく感じる」「しびれる」などが起こる。少し歩くと痛んだり歩けなくなったりもする。

 皮膚や爪にも影響があり、肌が乾燥してひび割れたり、巻き爪になったりする。指や爪に水虫もできやすい。大浦さんは「入浴時に足を洗って清潔に保つとともに、その際によく観察することを習慣にしてほしい」と話している。