宅配業界の人手不足が深刻 数年で荷物急増 若手ドライバーの過重労働が常態化

 
正社員が「不足している」と答えた企業の割合

 人手不足が深刻だ。帝国データバンクの調査によると、正社員が不足していると答えた企業の割合が43.9%と過去10年で最も高くなった。背景にはサービス競争の過熱や2020年の東京五輪を見据えた事業拡大がある。企業は待遇を改善するなどして人材確保に躍起だが、業務量の増加に追い付かない状況だ。

 「ここ2年ほどで荷物が急激に増え、ドライバーなどの体制が追いついていない」。ネット通販大手アマゾンの荷物を扱う宅配大手ヤマト運輸の関係者は話す。春闘では労働組合が、荷物の引き受け量を抑えるなど対策を求める異例の事態となり、会社側も何らかの対応を取るとみられる。

 ヤマトが15年度に扱った宅配便は17億個を超え、過去最高を記録。16年度も増えている。宅配業界では即日配達や時間帯指定、無料再配達などが定着。「朝から休憩も取れない」(若手ドライバー)ほど過重労働が常態化している。

 飲食業界では、ロイヤルホストが1月末までに全店舗で24時間営業をやめた。すかいらーくも「ガスト」「ジョナサン」の営業時間を短縮。同社幹部は「アルバイトが集まらず社員が深夜シフトに入らざるを得なくなると、忙しい昼夜の営業に支障が出る」と話す。

 東京五輪に向け工事が増えている建設業界も労働者不足の上位業種だ。「給料を上げないと人が取れない」(業界関係者)といい、日本建設業連合会によると、業界賃金は15年までの4年間で1割超上昇。人件費の増加は経営を圧迫している。

 1月に実施し1万195社が回答した帝国データの調査では、警備や建設、運輸といった業種で正社員不足が目立つ。今後も業務量は増加傾向が続くとみて、安定経営には長期で働く正社員の確保が欠かせないと考えている企業が多いようだ。