ビジネスでは完全にアウト 日本人がやりがちな「白人コンプ」丸出しの対応
新興国に翔ける□スパイダー・イニシアティブ代表 森辺一樹
誤解を恐れずにあえて言おう。日本人の多くは白人に対してコンプレックスを抱いている。
例えば、外国人に道を尋ねられたとき、話しかけてくる相手が白人とアジア人では、日本人の反応が異なることが往々にしてある。
アジア人ならば、相手が言っていることが分からなくても自分が悪いという気持ちにはならず、「日本語で話してくれないと分からないよ」という気構えで応じることができる。
一方、相手が白人だった場合は相手の言っていること(おもに英語)が分からないことに動揺し、「分からない自分が悪い」といった感覚に襲われがちだ。
これこそが、日本人が抱える「白人コンプレックス」である。私はこれがビジネス上でたいへん問題だと感じている。
「白人コンプレックス」は英語ができるか否かという問題と必ずしもイコールではない。もちろん、世界共通語である英語はできるに越したことはない。しかし、英語ができないとしても、そんな自分を卑下する必要など全くないのだ。
日本人相手に日本語を話しているときには堂々としている人が、白人相手に苦手な英語だと人が変わったように小さくなってしまうのをよく見かける。これがプライベートならまだしも、ビジネスなら完全にアウトだ。日本人はアジア人には強く、白人に対してもオール・ジャパンなどといって束になると俄然(がぜん)強くなるのに個になるとあまりにも控えめだ。
その理由は、日本人の心の中には、日本の総理大臣よりもアメリカの大統領の方が偉いとか、日本の役者よりもハリウッド・スターの方が格が上だといった感覚や、日本のプロ野球よりもメジャー・リーグ、Jリーグよりもヨーロッパ・リーグといった「白人コンプレックス」が根底にあって、それが国際社会というステージで日本人を萎縮させている。確かに、ハリウッド・スターやメジャー・リーガーの方が格が上かもしれないが、それはそれ、これはこれだ。
しかし、日本にも、こんな現代の日本人の弱点をものともしない強者がいる。「昭和のオヤジ」だ。読者の皆さんの周りにも1人ぐらいはいるのではないだろうか。単語を並べただけの下手な英語で、世界中どこへ行こうが、相手が誰だろうが、一切動じない昭和世代のオヤジたちが。
彼らは、日本人であることに誇りを持ち、下手な英語を話すのが面倒になれば、相手構わず日本語でひたすら会話を継続する。
相手が理解してようが、していまいがお構いなしだ。そして、いつしか相手をのみ込みビジネスをまとめる。彼らは決まってこう言う。「ビジネスで重要なのは言葉ではない、ハートだよ」と。
正直、私にも意味不明な人たちではあるが、彼ら昭和のオヤジから学ぶものは多いと感じる。日本人一人一人が個として誇り高く、世界のステージで堂々と立ち居振る舞うことが、今の日本には必要なのではないだろうか。(毎週火曜日に掲載)
【プロフィル】森辺一樹
もりべ・かずき 海外販路構築のスペシャリスト。15年以上にわたり1000社以上の海外展開の支援実績を持つ。アジア新興国市場の販路構築が専門。海外市場開拓コンサルタントの第一人者として活躍中。“アジアで売る”ためのノウハウをネットラジオで無料配信中! www.spyderagent.com/podcast
>>森辺氏のツイッターは @kazukimoribe
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