「高学歴・高収入の独女」後悔と不安 結婚したいけど、私より稼ぎの低い人は…

提供:PRESIDENT Online

 「結婚相手? 探しているんですけどね」。独身男性は社内に大勢いるが、なかなか思うようにはいかないという--。

 会社はいつまでいさせてくれる?

 「仕事は楽しいし、苦にならない」という坪田佳代さん(仮名、40歳)。大手メーカーのマーケティング部門に勤める。

 「ウチはお給料がいいから、女性は結婚して子供が生まれても辞めない。しっかり産休・育休を取って2年後に復帰する人も珍しくありません」

 一昨年は、税込み年収850万円。しかし、業績悪化でボーナス激減。昨年は800万円を切ったかも、という。

 東京・山手線沿線の月12万円・1Kの賃貸マンションで一人暮らし。朝食は取らず、電車を乗り継いで朝9時半に出勤。ランチは1000円程度の外食、晩は中食1000~2000円を買って家で食べる。夜、オフィスを出る時間は6時から終電ギリギリまで。帰宅後はネット検索と、パソコンの脇に置いたワンセグTVで夜更かしをする。

 「給与に残業を見越した相当分を上乗せしているから、残業してもしなくても貰える額は変わりません。セコい人は、残業せず、休日出勤で稼ぐ」

 週末は社外の友人数名と渋谷へ。数軒で飲んで、トータル5000円程度散財する。自宅が近いから、深夜タクシーでも1000円前後という。

 「友達はみんな独身女性(苦笑)。結婚した人とは行動パターンが変わって時間が合わなくなるから、だんだん疎遠になって、年賀状のやり取りだけになっちゃう」

 休日は、ひたすら眠る。

 「寝ても寝ても寝足りない。用事がなければ起きません。夜中の3時に寝て、翌日午後3時に起きることもある」

 背中や腰の凝りで月に1回はマッサージへ。体を動かすといえば、2カ月に1回のゴルフ程度という。

 服は使い捨てと割り切り、H&Mやユニクロ、フォーエバー21で安い服を山ほど衝動買いする。しかし、デフレ傾向は諸刃の剣である。

 「ウチの商品も、価格の下がり方がハンパないです。高学歴でほんとに優秀な人たちが、毎日真剣になってつくっているのに、店頭で見ると怖いくらいですね」

 “電気が不要なものにカネは使わない”のが信条。が、「牛の革は違う……見ると欲しくなって」。シャネル、ヴィトンのバッグを3つ4つ持つ。

 年1回、約20万円の予算で欧米を旅行。知人宅に泊まって宿泊費を浮かせる。

 「結婚相手??探しているんですけどね」

 独身男性は社内に大勢いるというが、なかなか思うようにはいかないようだ。今までで一番結婚に近づいた瞬間は??と水を向けても、「うーん……」と言葉を濁す。

 「私より稼ぎの低い人は嫌だなあ……。他社の年収はよくわからないんです。みんなどれくらい貰ってるんですか?」

 「年に約100万円ずつ貯金に回して、1人で生きていける準備をしているところです。でも、仮に貯金が5000万円あったとしても足りません。定年後の生活資金って、年に300万円じゃ足りないですよね。資格も何も持っていないし、会社はいつまでいさせてくれるのかな……」

 20歳年上からプロポーズされた

 転職を重ね、現在は大手金融の管理部門に勤める玉井好美さん(仮名、42歳)の年俸は約840万円。月々の手取りは50数万円だ。以前は家計簿を付けていたが、最近は月々の大まかな支出を把握するだけという。

 「給与や昇進、仕事の振り方でも、金融のほうが男女差があまりないように感じます。メーカーに在籍していた際は、十把一絡げの『女の子』扱いでしたから」

 とはいえ、女性管理職はやはり少ない。

 「今の会社で評価されてる感じはしません。ほかに今よりいい案件があれば転職するかもしれませんが……」

 通勤にエネルギーを取られるのが嫌で、月10万円(管理費込み)で都内地下鉄沿線の1Kマンションを借りている。20代の頃は仕事でフル回転、さらに税理士や英検の勉強に励んだこともあって、カロリーメイトやファストフードばかり食べていたが、今は健康食品の“鬼”。昨年は数十万円をつぎ込んだ。酒、タバコは嗜まず、職場の飲み会に参加することも稀だ。

 「今はほとんど自炊です。朝はトーストだけ。昼は手製のおにぎりやお弁当。夜は一時パスタばかりで飽きたから、今は蕎麦、うどんが多い」

 故郷の九州にいる父親(71歳)の話題になると、「若い頃はイケメンだったんです。料理もうまい」と饒舌になる。一人っ子の玉井さんが独立する前に離婚し、今は年金暮らし。しばしば食材を送ってくれるおかげで、食費はほとんどかからない。そのお返しとばかりに、父の日にはアルコール類や、米国から取り寄せたサプリメントを送っている。

 「休日は、月1回1人で山歩きしてます。あまりお金はかけません。帰省は旅費がハネ上がるので、回数は少ない」

 年200万円以上を貯蓄に回しているが、一時期は株にも手を出した。

 「スルガコーポレーション株を持っていましたが、反社会勢力との関係が取り沙汰されて上場廃止。さっさと売っておけばよかったのに、持ち続けていたから300万円の損。その分を取り戻そうとしてみずほ銀行株を買ったら、ドカン、ドカンって感じで下がって、結局トータルで400万円損しました。もう思い出したくもない」

 現在、預貯金は2000万円超。「億単位はないと、全然安心できないですね。これから年金どうなるんだろう、とか、心配ばかりしている」。

 玉井さんは、周囲から「近寄り難い」と言われるのもうなずける、目鼻立ちのはっきりした容貌。過去に交際した男性は2人で、ともに20代の頃にお見合いで出会った。

 「1人目はバツイチ。2人目はちょっと神経質な人だった」

 いずれもイケメン。面食いは一生直らない、と苦笑する。

 「父からも、離婚した母からも、『おまえは結婚に向いてないよ』と言われた」

 一昨年、20歳近く年上の男性からプロポーズされた。

 「海外旅行好きで、悠々自適の方です。でも、年齢は父のほうが近い。『父のほうが男前だわ』『父が悲しむかも』とか、『体臭が嫌』『金歯が見えるのが嫌』等々、あれこれ考えすぎてしまった。恋愛感情がなくても、結婚ってできるんでしょうか……」

 結局、相手から“来てほしい”と懇願してきたメールを無視してしまったという。

 「老後のための結婚とはいえ、相手が年々変わっていくのを、受け容れる自信がありません」

 でも、会社にいつまでしがみついていられるかわからない。お金なしで長生きしても……と嘆息する玉井さん、父よりも私が先に逝く予定なんで、とおどけてみせた。

 ※すべて雑誌掲載当時

 (プレジデント編集部 西川 修一 小原孝博=撮影)