子供の「考える力」をプログラミング体験で 保護者は熱視線、企業も企画続々
コンピューターを動かすプログラムを作成する「プログラミング」を、子供が気軽に体験したり、本格的に学んだりするための取り組みが増えている。さまざまな分野でIT化が進展したことによるプログラマー不足の解消だけでなく、子供が筋道を立てて考える訓練になるという教育効果への期待も追い風になっている。(産経新聞 阿部佐知子)
「難しくない」
子供向け職業体験テーマパークのキッザニア甲子園(兵庫県西宮市)は7月10日、ロボットのプログラミングを体験できる施設をオープンさせた。パーク内の携帯電話販売店で「入店の受付」「窓口業務」を担当するロボットのプログラムを作成する-という想定だ。
子供たちは、「スマートフォンの機種をご案内します」「白をご用意します」といった応対の順序や、「お辞儀をする」「左手をあげる」などの動作をどんな場面で行うかを考える。動作や言葉が書かれたアイコンをタブレット端末上で並べ替えると、ロボットが指示に従って動く。
参加者は来店客役にもなり、ロボットが指示通りに動くと歓声を上げた。名古屋市の小学4年生、中川誉裕(よしひろ)君(10)は「ロボットの動作を決めたら、その通りに動いておもしろかった。思ったほど難しくない」と話した。
企業も注目
IT市場は今後も拡大し人材不足がさらに深刻化すると予測される中、文部科学省は平成24年に中学校でプログラミング学習を必修化。次期学習指導要領では小学校にも拡大し、32年度から授業がスタートする。
プログラミング教育の拡大はIT産業への人材供給につながるほか、子供たちが「順序立てて考える力」「分析する力」を学び、問題解決能力を身につけることにも役立つとされる。
リクルートマーケティングパートナーズ(東京都)が昨年実施した調査では、小学校高学年の児童に保護者が通わせたい習い事として英会話、書道、学習塾、水泳に続き「パソコン関連」が5位にランクイン。
注目の高まりを受け、企業もプログラミング教育に取り組みはじめた。
江崎グリコは、身近なお菓子を使ったアプリ教材「グリコード」を昨年8月から公開。人気のチョコレート菓子「ポッキー」を横向きや斜め向きに並べてアプリに読み込ませると、アプリ上のキャラクターに「右に動く」「繰り返す」といった指示を与えて動かせる。同社は小学校で教材を活用した課外事業も行っている。
阪神電気鉄道と読売テレビグループは、幼児から中学生までが対象のロボットプログラミング教室「プログラボ」を昨年開設。ブロックとモーターやセンサーでロボットを組み立て、タブレット端末で操作する。
担当者は「単にプログラムの知識だけではなく、仲間と協力し最後までやり抜く力を育てることができる」とアピール。これまでに13教室を展開し、今後も拡大する方針だ。
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