インフル大流行、3週連続で最多更新 重症化しやすい「A香港型」の検出も
1週間に報告されるインフルエンザ患者数が平成11年の調査開始以来、3週連続で最多を更新するなど、過去に例のない大流行が続いている。中国や欧州でも拡大しているB型ウイルスへの感染が多いのが特徴だが、最近は米国で広まっているA香港型ウイルスの検出が目立ってくるなど新たな懸念材料も浮上。専門家の間では「流行が長引く可能性がある」との見方も出ている。
厚生労働省に2月4日までの1週間に報告された1医療機関当たりの患者数は54.33人で、3週連続で50人を突破。50人を超えたのは17年以来で、今季の流行がいかに大規模なものかが分かる。新型インフルエンザが発生した21年のピーク時は40人未満だった。
特徴は、A型とB型が同時に流行していることだ。B型の患者は例年2月ごろから増え始めるが、今季はなぜか前倒しで増加した。川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長によると、B型が大半を占める流行は数年おきに発生するといい、「通常のA型の流行にB型が乗っかっているような形となり、急激に患者が増えたようだ」と分析する。
B型は日本だけでなく中国や欧州でも広がっており、東北大の賀来満夫教授(感染症学)は「A型とB型が同時に流行するのは珍しい。B型に何らかの変異が起こっていないかも含めて、今後解析が必要だ」と話す。
A型には、21年に新型として流行したH1N1型や、A香港(H3N2)型などの種類がある。直近5週間で検出されたウイルスの種類はH1N1型が多い状況が続いていたが、4日までの集計でA香港型が逆転した。
A香港型は米国で大流行、今季は既に60人を超える子どもの死者が出ている。日本でもA香港型が増え始めたことを受け、賀来教授は「A香港型は高齢者を中心に重症化しやすいといわれており、一層の注意が必要だ」として予防策の強化を訴えている。
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