講師のホンネ

英語でアウトプットする時のコツは「とにかく発話」

 「インプットだけでなく、アウトプットが大事である」というのは、さまざまな学習の過程で言われていることだが、英語学習も例外ではない。本を使って英語を勉強するだけでなく、アウトプットすること、実際に英語で話してみることが重要だ。しかし、いざ英語で話そうとするとき、多くの英語学習者が苦戦する。その理由の一つとして、頭に浮かんだ日本語をそのまま英語に訳そうとすることが挙げられる。(鈴木マグラクレン美保)

 日本の大学で教えているカナダ人の夫が、プレゼンテーションのコツとして学生に伝えていることがある。英語で話す際にも応用できるので、ここで紹介したい。そのコツは「KISS」である。KISSはKeep It Short and Simpleの略。Keep(保つ)、It(それを)、Short(短く)、Simple(シンプルに)。つまり「言いたいことを短く、シンプルに伝えよう」ということである。

 先日、友人に「洗濯日和って英語で何ていうの?」と聞かれた。「洗濯って英語で何だっけ?」「日和って英語で何だっけ?」と、そのままを訳そうとするとなかなか出てこない。伝えたいことのポイントが「いい天気だね」ということであれば、“Beautiful day!”と言いながら、語調にうれしい感情を乗せてみる。「洗濯に最高だ!」と伝えたいのであれば、空を見上げて、“It’s perfect for laundry!”でもいい。

 頭で浮かんだ日本語を完璧に伝えようとするより、そこで伝えたいポイントは何かに絞って短くシンプルに伝える。そうすると、全てを伝えられない「気持ち悪さ」が自分の中に残ることもある。また、自分の英語表現が日本語のそれに比べて「稚拙だ」と感じてしまうかもしれない。

 しかし、それは必要な過程で、とにかく発話しないことには、英会話は習得できない。直訳のない表現「よろしくおねがいします」を例にワンポイント。何か頼みごとをした際の「よろしく」は、「私のためにやってくれてありがとう」なので、“Thank you for doing this for me.”や、「感謝しています」の“I appreciate it.”で、その「よろしく」の気持ちが伝わることと思う。

 「KISS」を念頭に発話を繰り返すうちに「気持ち悪さ」や「稚拙さ」が、きっと「伝わる喜び」に変わる瞬間が訪れる。ぜひ、発話することを試してみてほしい。

【プロフィル】鈴木マグラクレン美保

 すずきまぐらくれん・みほ 企業・大学・自治体で、コミュニケーション、ヨガ&マインドフルネス、英語に関する研修の講師を務める。英検1級、TOEIC960点、全国・講師オーディション奨励賞受賞(2014年)。「つながる英語」と題してSNSやブログに、カナダ人の夫との日常生活の中から役立つ英語のフレーズを投稿中。静岡県浜松市出身。