鉄道業界インサイド

東京メトロ「忘れ物検索サービス」利用のコツや、最近増えている品物は?

枝久保達也

 東京メトロは3月31日、車内や駅構内で拾得された忘れ物を利用者自身が検索できるサービスを開始した。

 自分で調べることが可能に

 東京メトロでは、駅構内や車内で忘れ物を発見した場合、または乗客が駅に忘れ物を届けた場合、品物の特徴などを係員が忘れ物検索システムに入力して管理している。システムに登録された情報は、各駅の駅事務室、お忘れ物総合取扱所、お客様センターで共有され、どこからでも確認することができるようになっており、電話やwebフォームから問い合わせを受けた場合、担当者が利用者の申し出に沿ってシステムを操作して、該当する品物があるかどうか調べている。

 しかし今後は、公的証明書が入った財布や定期券など、利用者の名前の記載があり、なくした人が特定できる忘れ物については、忘れ物検索システムに登録されているかどうかを、自分で調べることができるようになった(もちろん、今まで通り係員に依頼することも可能だ)。

 調べ方は簡単だ。東京メトロ公式サイトのトップページ下にある「お問い合わせ」から「お忘れ物をしたときは」を選ぶと、画面の右下に「お忘れ物お問い合わせ」が表示されるので、メッセージに従って入力するだけ。忘れ物をした日付(忘れ物当日から4日前まで検索可能)、忘れた品物は何か、名前を確認できるものは何かを、表示される一覧から選択し、自分の氏名を入力すると、該当する品物があるかを自動で検索してくれる。

 入力する氏名は、名前が確認できる品物に記載された通り入力する必要がある。ICカードなど名前がカタカナで表記されている場合は、漢字で入力すると見つからないので注意しよう。

 それらしい品物が拾得されている場合は、表示された保管場所に受け取りに行く。引き取り時には運転免許証や保険証、学生証などの公的証明書と印鑑が必要になる。

 ただ、前述のように検索できるのは忘れ物検索システムに登録された品物だけなので、まだ駅に忘れ物が届いていない場合、システムへの入力が済んでいない場合、あるいは他社に直通する路線の車内に忘れ物をした場合など、東京メトロの営業範囲外で拾得された品物は対象外だ。そうした場合は、お忘れ物検索システムへの登録を待つか、直通先の鉄道会社に問合わせをする必要がある。

 近年増えている忘れ物

 東京メトロによると、同社の駅構内や車内で拾得される忘れ物は1日平均約1800件。忘れ物で多いものは傘、パスケースや名刺入れなどの小物、袋類、かばん、携帯電話などで、冬は手袋やマフラーが多くなる。近年はワイヤレスイヤホンや電子タバコも増えているという。

 忘れ物は届いた当日は発見された駅で保管されているが、翌日になるとお忘れ物総合取扱所に移送され、5日目以降は警視庁の遺失物センターに送られる。ここでは3カ月間保管されるが、その後は処分されてしまうので要注意だ。ちなみに、なくした品物が手元に戻ってくる割合(返還率)は約3割だという。

 もしも駅構内や車内に忘れ物をしてしまった場合は、焦らずに、いつなくしたのか、どこの駅や路線を利用したのか、品物の特徴などを整理してから問い合わせするといいだろう。柄やキーホルダーなど特徴が分かれば、品物の特定も容易になる。

 これから暖かくなり、薄着になっていくと忘れ物も増えてくる。大事な品物をなくして、貴重な時間を浪費しないよう、電車に乗った時は下りる前に一度振り返って、忘れ物がないかチェックする習慣を身につけるとよいだろう。

枝久保達也(えだくぼ・たつや) 鉄道ライター
都市交通史研究家
1982年11月、上越新幹線より数日早く鉄道のまち大宮市に生まれるが、幼少期は鉄道には全く興味を示さなかった。2006年に東京メトロに入社し、広報・マーケティング・コミュニケーション業務を担当。2017年に独立して、現在は鉄道ライター・都市交通史研究家として活動している。専門は地下鉄を中心とした東京の都市交通の成り立ち。

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