全高が100mmアップ
「GLA」はメルセデスのもっともコンパクトなSUVとなる。基本的な骨格はAクラスを流用することから想像できるように、車高を高め、張り出しを強くし、アクティブな印象を強めてはいても、基本的には日頃の使い勝手を求めたコンパクトSUVなのである。
それは日本の道にマッチしていた。国産セダンからの乗り換えでも違和感はなく、肩の力を抜いたままゆったりと活用することができた。特に主張することもなく、ごく控えめな存在が受け入れられてきた。それが2014年の初代デビューからこれまでのGLAの印象である。
だが今年、2代目はキャラクターを衣替えして登場したように思う。あきらかに存在感が増した。威風堂々としたそのスタイルがまず、新生GLAの魅力を伝えている。
前後左右のフットプリントには大きな違いはない。だが、全高が100mmも高くなった(1620mm)。日本の道でジャストフィットだったGLAが、立体駐車場を選ばねばならぬサイズに成長したのは驚きだった。堂々と、本格的SUV宣言をしたかのようなのだ。
天地に伸びたことで室内スペースに余裕が生まれた。ドライバーの着座点は先代に比較して140mmも高い。140mmは14cmだ。分厚い座布団を数枚重ねたほどの高さなのだ。上から見下ろすような視点からのドライビングが可能になった。格上のGLBよりも52mmも高いというのだから開いた口が塞がらない。
安価な1.6LガソリンやFFは不在
キャラクターチェンジは、サイズの拡大だけにとどまらない。まず導入されるグレードは一種類。その決め打ちが、「200d 4MATIC」のみの設定だと聞いてにわかに信じられなかった。直列4気筒2リッターディーゼルターボと4輪駆動を合体させたモノグレード構成なのだ。これまで設定されていた1.6リッターガソリンの選択はない。FF駆動方式もラインナップされていない。安価なガソリンも平凡なFFの設定も拒否しているのだ。
つまりそれは、大衆モデルからの脱却である。初代はメルセデスらしからぬ庶民性が色濃かった。スリーポインテッドスターを冠っていながらも、大衆車の粋を出ていなかった。チープな印象は否定できないでいた。だが新型は、けして高級感が溢れ出るほどではないものの、兄貴分のGLBやGLEとの近似性がある。そしてさらに、クロスカントリー色を高めて登場。大衆車ではなく、遊び心のあるアクティブSUVとなったのである。
2リッターディーゼルとターボの相性は悪くはないから、低回転域から力強いトルクを絞り出す。速度0km/hからの最初の一歩に鈍さが残るものの、回転計の針が1000回転を超えれば頼もしさは格別である。
4MATICシステムには「オフロード」の設定が加わった。乗り心地重視の「コンフォート」や、環境重視の「エコ」や、あるいは運動性能を意識した「スポーツ」の設定などを任意に選択できた。そこに「オフロード」が加わったのである。
「オフロード」に設定すれば、前後駆動トルクが50:50にアジャストされるという。荒地での脱出性能が高まるように、デフロック風に作用するともいう。実際にアスファルトをクルージング中に「オフロード」設定にトライしたら、エンジン回転が高まり、駆動抵抗が一気に増し、唸り音と振動が倍増した。あきらかにダート設定に変異したのだ。気分はGクラス。本格的なクロスカントリーモデルの一面を覗かせたと思える。
初代のその成功に甘えずにコンセプトを強化して誕生した。メルセデスの鼻息は荒い。
【試乗スケッチ】は、レーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、今話題の興味深いクルマを紹介する試乗コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【クルマ三昧】はこちらからどうぞ。