まもなく個人所得の確定申告時期となります。会社員や公務員の人たちは、年末調整のみで所得税の納税額が決まる場合がほとんどでしょう。お金の世界では「タックスプランニング」といって、税金を最適化することは一つの知識であり、実施することは技術であると考えます。所得税、相続税、消費税が増税になって、生活は苦しくなる一方だと思うかもしれません。
しかし、自営業者、個人事業主、フリーランスの人たちが当たり前のように利用している節税方法が会社員・公務員でも利用できると聞いたら興味をもちませんか? 自分には関係ないではなく、どうすれば上手に利用できるかを考えながら読んでください。
■特定支出控除の予算
特定支出控除という言葉を聞いたことがない人が多いのではないでしょうか。会社員や公務員の人たちの業務上支出の自腹を経費扱いにしてくれるありがたい制度です。
この控除枠を使うには支出の下限が設定されています。つまり、一定金額以上の支出がなければ控除対象とならないのです。少額ですと使えませんが、いろいろな支出を合計すれば使えるようになるかもしれません。
金額の目安は給与所得控除の2分の1以上です。給与所得控除は国税庁のウェブサイトを参照にしてください。令和2年分以降という箇所の表を確認します。
左側の給与等の収入金額が年収です。源泉徴収票を手元に用意して、左上の数字を見てください。源泉徴収票の左上は年収が記載されています。年収を上表の給与等の収入金額に当てはめます。当てはまる箇所の右側、給与所得控除額が今回計算に必要な数字です。これから説明する支出の合計額が給与所得控除額の2分の1を超えていれば、特定支出控除が利用できます。今回の確定申告で利用できなくても、来年以降の利用も考えられますので、チェックしておきましょう。
■新幹線代を経費にできる! 移住者に朗報の通勤費
移住者や二拠点生活者に朗報なのが、通勤費の特定支出控除化です。多くの会社では、新幹線代全額と新幹線利用に伴う交通費の一部は自己負担になっているでしょう。特定支出控除は、グリーン車の利用料は対象外ですが、新幹線代、電車運賃が対象となります。毎月5万円、10万円と新幹線代の負担を重く感じている人は、絶対に確定申告を忘れないようにしてください。
■セカンドキャリアと副業のための研修費・資格取得費
特定支出控除は業務関係の研修と資格取得と資金使途が限定されています。したがって、定年後や副業のための支出は対象外です。しかし、それは誰が決めるのでしょうか。しっかりと勤務先と話し合って、今後の業務に必要な研修であり、必要な資格であると合意を得られれば、後ほど説明する会社の承認を得やすくなるのではないでしょうか。
勤務先にとっては、スキルの低い社員にいつまでたってもぶら下がられても困りますから、社員が積極的に外部でも稼げる人材に変化していくことは大歓迎ではないでしょうか。そもそも、会社は承認しないことのリスクはありませんから、社員が前向きな姿勢をとっていることをサポートする必要がありそうです。
■新聞と勉強のための図書費
ウェブサイトで無料でニュースが読める時代に合って、何のために新聞を購読するのでしょうか。あるいは書籍の購読は何のために行うのでしょうか。本を読むこと自体が大好きな人以外は、新聞や本を買ったり読んだりする目的は仕事で必要だからではないでしょうか。
そう考えると、利用をやめようか検討していた新聞図書関係の支出は、経費になりえます。毎月5千円で年間で6万円にしかならなくとも、他の支出と合計すれば特定支出控除枠に到達する可能性があります。本好きな方には朗報ですが、業務と関係ない書籍はもちろん対象外です。
■自腹を経費にできる交際費等
自腹の交際費。ファイナンシャルプランナーとして相談をうけていて何度となく聞いてきた不可解な支出です。取引先との宴席が自腹、取引先とのゴルフ接待が自腹、企業の経費に対する概念が厳しくなり、経費計上ができなくなったという事情もあるでしょう。
会社で経費化できなければ、個人で経費化してしまいましょう。会社の承認が必要ですから、しっかりとメモと領収証を残しておいてください。時間外労働とまでは行かないかもしれませんが、取引先が来ているのであれば業務と主張して差し支えないでしょう。
今まで涙を飲んでいた自腹の交際費を経費にして税金負担を減らしましょう。
■勤務先で認める必要がある
今までいくつかの支出内容を解説しましたが、最大の難所は会社の承認を得ることです。会社も慣れていないため難色を示されることが想定されます。そのような場合は財務省のリンクをご確認ください。(令和2年分以後の所得税に適用される給与所得者の特定支出の控除の特例の概要等について(情報))
すでに去年(2020年)の領収証がないという人もいるかも知れません。クレジットカード明細を確認したり、領収証を再発行してもらったりと取り組まれてはいかがでしょうか。所得税の確定申告は過去に遡って申告することも可能です。
特定支出控除は、税額控除ではなく所得控除のため、年収の多い人のほうが有利に働きます。自己負担で遠距離通勤としていたり、自主的な勉強に励んでいる人は、苦労を多少なりとも節税という形で還元することができるのです。いかがでしょうか、去年あなたはどれだけお金を使いましたか?
質問などは、お住まいの最寄りの税務署のコールセンターに直接電話されるといいでしょう。
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