幸福な暮らしに必要な基本要素は「衛生」「環境」「健康」。この3つを経営の柱に据えた事業・製品で、高い評価を得ているのが自然派洗剤・食品、医療関連機器などを手がけるサラヤ(大阪市東住吉区)だ。更家悠介社長は「ビジネスを通して、世界の衛生・環境・健康に貢献していく」とミッションを語る。
伝染病や感染症の予防には手洗いが欠かせない。サラヤのルーツはこの手洗いだ。戦後間もないころ、日本で赤痢などの伝染病が多発する中、創業者の更家章太氏(現・最高顧問)が簡便に手洗いできるせっけん液と容器を日本で初めて考案して事業化し、昭和27年に創業した。
以来、「手洗いは衛生の基本」を信念に、工場・オフィス・家庭などあらゆる場面で使われる薬用せっけんやアルコール消毒剤など、多くの手洗い関連製品を開発した。これら製品は全売上高の37%を占める。
衛生面の世界貢献も手洗いがベースとなる。昨年9月からユニセフ(国連児童基金)と共同でアフリカ・ウガンダの手洗い啓発活動に乗り出した。せっけんを使った正しい手洗いと必要性を伝えて衛生面を向上し、感染病抑制と生存率を高めるのが目的だ。
この「SARAYA100万人の手洗いプロジェクト」は平成22年からの3年計画で、3千万円を目標にサラヤが対象製品の売り上げの1%を寄付し、100万人を超える現地母親たちへの啓蒙(けいもう)、簡易手洗い設備120万基の設置といったユニセフの活動にあてる。
更家社長は「プロジェクトを通じて商品の良さが認められている」と手応えを感じており、「今後はケニア、タンザニアにも広げたい」と現地生産も視野に入れた現地法人設立を計画している。