「学生の学力低下は、何も学生本人だけの問題だとは言い切れません。ここ最近、AO入試や推薦入試が大幅に増えたので、『受験勉強をせずに大学に入る学生』が増加しているんです。一般入試でも、『受験さえすれば事実上合格にする』という基準を設けている大学もあると聞きます。少子化の影響で学生の獲得争いは熾烈な状況ですので、『大学への入学』は容易になりました。しかし、『きちんと企業から内定をもらって卒業する』というハードルが徐々に高くなっているように感じます。」
また、企業の人事担当者にも話を聞いた。
「業種や職種にもよりますが、極論を言うと、『学力や筆記試験の結果が仕事の出来に直結する』とは言えません。しかし、社会に出て仕事をする中では、『自分で物事を考える力』や『現状を分析する能力』、『多少の困難でも諦めない継続性』が欠かせません。これらのことは勉強を継続して行う中で培われる可能性が高い。あまりにも筆記試験の点数が悪い学生であれば、『この子は困難なこと(この場合では勉強のこと)があればすぐに投げ出してしまうのでは?自分で物事を考える力が乏しいのでは?』という印象を抱いてしまいます。」