わが国における皇室の今後についても課題はあります。しかし永年、陛下の日常を垣間見て、何事にも視点の違いを痛感します。お生まれのときからの立場の宿命、これが無私を培い、ご努力で全ての人の幸せを想います。その延長に平和の追求、犠牲者への慰霊の実践があります。こういうものの影響が、国民を精神的に幸せにし、国家の品格をつくるものではないでしょうか。
とかく歴史はそのときの政治に都合のよい方向で捏造(ねつぞう)されます。些細(ささい)なことでも真実を書き残すことは後世への義務と考えます。世の中が合理化されると、逆に視野が狭くなり、人間に心のゆとりが消えるのを怖れます。(1900円(税別) 講談社)
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【プロフィル】明石元紹
あかし・もとつぐ 1934年生まれ。学習院で幼少より今上天皇と同級。高等科では一緒に馬術部で活躍。慶應義塾大学卒、日産自動車勤務、日産プリンス東京販売取締役、日産陸送常任監査役などを歴任。傍らで学習院大学馬術部監督を務め、両陛下とポロ、テニスで交流。最近十数年、毎年、油絵で個展開催。