この著者の告発に、おそらくは異論を唱える向きもあろうが、いずれにせよ問題は、あまりにも裁判所がベールに包まれ、健全なる批判を受ける機会がないことなのだ。
司法を国民・市民のものにするために、著者は法曹一元制度の実現とそれに伴う改革の具体案も述べている。「日本では無理」と投げ出すことなく、広い議論になってほしい。そのためには市民の側も「逮捕で一件落着。あとはお上が適当に裁いてくださる」と思考停止することなく、裁判の行方や判決の是非についても関心を持ち続けなくてはならないと痛感する一冊だ。(講談社現代新書・798円)
◇
【プロフィル】麻木久仁子
あさぎ・くにこ 昭和37年、東京都出身。ラジオ番組「週刊『ほんなび』」などに出演中。書評サイト「HONZ(ホンズ)」メンバー。