佐藤留美著『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)【拡大】
「士業」の古き良き時代は終わった
資格ビジネス全盛の時代。中には怪しい資格や検定も散見されるが、「手に職」「安定収入」「キャリアアップ」といった資格産業のうたい文句は、不況下に生きる人々の不安な心によく響く。
そうした資格市場の頂点に位置するのが、弁護士や公認会計士、税理士などの難関国家資格。だが狭き門突破で高収入といった「士業」のイメージは、既に過去の話とする衝撃的ルポが本書だ。
弁護士と公認会計士は国策で増員させた結果、過当競争と低所得化が急進行。税理士もIT化でダンピングが著しい。制度設計ミスで大勢の若者が路頭に迷う悲惨な現状が、生々しく描き出される。
先月下旬に初版1万2000部でスタートし、発売後1週間で早くも3000部の増刷が決定した。
惨憺(さんたん)たる実態暴露が続く本書だが、あとがきには「資格を活(い)かして独立・起業されている方々は、人間的に魅力的な人が多かった」「自分の腕一本で生きていく覚悟と誇り高さと潔さが感じられ、同じ独立自営業者として、大いに刺激を受けた」とある。著者自身も筆一本で立つライター。厳しいが決して冷笑的ではない筆致には、苦闘する士業への敬意も感じられる。(新潮新書・714円)
磨井慎吾