□平井康文・シスコシステムズ社長
--1月に第14回テレワーク推進賞の会長賞に輝いた。テレワークに取り組んできた背景は
「2007年にテレワークを導入し、私が10年に社長に就いてから全社的に展開している。多様性のある働き方だけでなく、経営品質の向上につなげる施策として取り組んでいる。『顧客本意』『社員重視』『社会との調和』という大きな3つのテーマに、シスコならではの『独自能力』を加え、椅子の4本足のようにしっかりとした経営のプラットホームを築き、イノベーションを生み出す環境を整える」
--独自能力とは
「シスコカルチャーという企業文化や風土、自社の製品技術だ。当社にはテレワークを支える数々のデバイスや技術がある。例えば自社製のIP(インターネット・プロトコル)電話やWiFiルーターを全社員に貸与し、自宅や出張先からもテレビ会議に参加できる。グローバル企業の当社にとって、テレワークは地球時間という単位で世界中のスタッフが効率よく働くための手段となっている」
--実際の効果は
「試算では年間約5億4000万円のコスト削減効果がある。私も海外出張が減り、自宅からグローバルな会議に参加できるようになった。社員の意識調査では、仕事と生活のバランスが取れていると考えている人が85%、この会社で働いてよかったと思う人が92%に達している」
--今後の取り組みや課題は
「テレワークを支援する環境や制度が整っておらず、新経済連盟の理事として『知識社会型新たな就労環境実践プロジェクト』を推進している。制度変革への提言も含め、働き方を変えたいと思っている企業に対し、当社の成功事例をモデルケースにテレワークを提唱していく」