□保坂岳深NEC執行役員
--NECがテレワークを導入した経緯は
「1990年代にサテライトオフィスを設置したが、当時はネットワーク環境などが不十分で普及しなかった。その後、2004年に品川のオフィスで『ブロードバンド・オフィス』というテーマで、無線LANとノートパソコン(PC)のフリーアドレスを実現した。この成果を基に06年7月からテレワークトライアルを始め、08年7月から全社的に制度化を進めてきた」
--具体的な内容は
「テレワークと並行し、ペーパーレス化に取り組んできた。その成果から、会議の資料などはPCで作成してファイルで配布することが既に当たり前になっている。また、社内の申請や稟議(りんぎ)での承認といったワークフローもIT(情報技術)化し、書類の配布や回覧を行わなくなった。こうした環境整備によって、社員はPCから社内のネットワークにログインすれば、出張先や宿泊先などどこにいても社内にいるときと変わらず、個人の働き方に合わせて仕事ができる」
--テレワークの効果は
「正確ではないが、全社員の約2割はテレワークを積極的に活用している。出張先からも会議に参加したりできるので、ビジネスのスピード感が大きく変わった。また、東日本大震災のときには電車が動かず会社に行けなくなっても、自宅から社員や工場と連絡を取り合ってビジネスを継続できた」
--今後の展開は
「当社で実践したテレワークをITソリューションのブランド『UNIVERGE』として販売しており、企業や行政機関などに提案したい。顧客の課題の解決につながるテレワークの提案や開発にも取り組みたい」