コロラド州には、アメリカ開拓時代のエネルギッシュな面影が、いまも色濃く残っている。狭軌鉄道もそのひとつ。1850年代に起こったゴールドラッシュで湧いたコロラド州では、山間部の鉱山と町を結ぶ鉄道が次々に敷設された。険しい山道を走るのに、幅の狭いナローゲージが適していたわけだ。
現在のコロラド州はすっかり車社会。多くの鉄道は廃線になった。愛好家たちが支える私設博物館で、華やかな時代を駆け抜けた車両たちは、のんびり余生を過ごしている。
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。