■歯科分野の現状に警鐘鳴らす
年齢を重ねるにつれ、健康面の心配事は増えてくる。歯にまつわる悩みはその代表格ではないか。しかし、肝心の歯科医療は劣化ともいえる変質にさいなまれている。
今やコンビニエンスストアより多くなった歯科医院は、患者の激しい獲得競争下にある。きちんと治療すればするほどもうけが減るともいわれる歯科保険制度もあり、簡単で採算の得やすい治療に走る歯科医が急増しているとも。残せる歯を雑草がごとく抜き、未熟だがインプラントを施術…といった事例が後を絶たない。
本書は“残せる歯を残す”ことに執念を燃やす歯科医からの警鐘。歯科分野の現状を知る意味でも貴重な一冊だ。(842円、幻冬舎新書)