TMS治療の初期の段階で心境の変化があった。人と会っているときにふだんよりも気分が高揚し饒舌になる一方、気分が沈むときも極限まで落ち込むことなく安定している自覚があった。最先端の治療を受けているというプラシーボ効果かもしれないし、川口院長のアドバイスで気持ちが落ち着いたのかもしれない。
早い段階で治療の効果が出るのは「よい兆候ではない」と聞いていたため、4回目の治療後に川口院長の問診を希望した。波の変動幅を小さくすることが目的だったのに、むしろ波に合わせて変動幅を大きくしている可能性もあるからだ。しかし、問診で「睡眠時間は十分に取れている」「イライラすることはない」ことを伝えると、治療は順調であり心配しなくてもよい旨を告げられた。
TMS治療前に執筆した2回目までと治療後に執筆した3回目以降の文を読むだけでも、記者の心が落ち着いていることや穏やかになっていることが分かるのではないだろうか。決して意識して書き分けたわけではない。
高層ビル「アイランドタワー」の24階にある新宿メンタルクリニック。天気が良ければ診察室から富士山が見えることもある。サロンのような優雅な待合室ではハーブティーやビタミン飲料などのノンカフェインのドリンクが自由に飲める。トリーターや医師らスタッフが意見を出し合って決めたという。