■元住民が伝える島の昔と現在
〈海上に浮かぶ「巨大廃墟」という見た目の関心に留まることなく(中略)これからの未来を考える場所であってほしいと願っている〉。序文にそう記されている。世界遺産となった意味も、そこにあるはずだ。
著者は、子供時代を島で過ごした元住民で、いまはツアーガイドとして保存活動を続けている。1974(昭和49)年に住民が全員退去するまでの暮らしぶりが紹介されるが、島の現況を伝えるモノクロームの写真も印象深い。風雨にさらされて朽ちていく建物、放置された家財道具…。かつて島に生きた人々のことを、とてもリアルに想像させてくれる。(1728円、亜紀書房)