飲食チェーン「ペッパーフードサービス」(東京・墨田区)の「いきなり!ステーキ」も、高級店の半額程度でステーキを提供する立ち食い店で、若者に人気だ。店の狭さを逆手に取り、客の目の前で食べたい量だけ肉を切ってみせるサービスが受けている。仕事帰りの会社員など「おひとりさま」も多く、滞在時間20~30分と回転率が高い。
立食ブームは成熟期
最近の立ち食い店ブームは、「『立ち飲み』から派生した文化」と、フードジャーナリストの曽我和弘さん(54)は解説する。
「立ち飲み」は江戸時代、酒屋が店の一角で酒やつまみを提供したのが始まり。飲食店が多様化した昭和55年ごろに衰退するも、バブル崩壊で消費低迷した平成11年ごろにブームに。料理にも力を入れた立ち飲み店が登場した。16年ごろの「バル」ブームと20年ごろからのスペイン料理人気が融合してスタンドバルブームになり、立って味わうスタイルが確立。やがてフレンチなどさまざまな料理に広がっていったという。
ブームを機に立ち食いへの抵抗感が薄らいだらしく、女性客が従来型の立ち飲み店でも見られるようになった。一方で、ブームの火付け役になった立ち食い店では、ファミリー層が増えるなどニーズが多様化して着席スペースを増やす傾向も。曽我さんは「立ち食いブームは成熟期に入った。今後は原点回帰が進み、しゃれた日本酒スタンドバーなんかがはやるかもしれない」と推測する。