春闘方針を決定した中央委員会であいさつする連合の神津里季生会長=27日、千葉県浦安市【拡大】
例えば大手企業の労組は自社の賃上げ要求だけでなく、グループ企業や取引先企業も賃上げが可能になるように、下請け企業との取引価格是正などを経営側に強く求めることになる。これにより中小企業が賃上げできる状況を作り、産業界全体の賃上げを図るという方式だ。
金属労協では、自動車総連、電機連合はベア3000円以上で調整しているが、中小製造業の労組でつくるJAM(ものづくり産業労働組合)は既にベア6000円の統一要求と決めた。
安倍晋三政権が進める大企業などで賃上げを先行させ、それを広く波及させるトリクルダウンではデフレ脱却が難しく「底上げこそが有効」と連合は考えているからだ。「官制春闘」と呼ばれ、失った連合の存在感を回復させたいとの思惑がある。
ただ、新しい取り組みだけにある労組担当者は「試行錯誤しかない」という。交渉がどう展開するか不透明で不安も隠せないのが実情だ。連合の新たな取り組みがデフレ脱却をもたらすのか。失敗すれば再び連合の存在価値が問われることになる。