経団連は25日、主要企業の労使が春闘について意見を交わする「労使フォーラム」を東京都内で開いた。
あいさつで榊原定征会長はデフレ脱却に向け「積極果敢な経営を通じ収益を拡大し、その成果を賃上げなどにつなげていくよう最大限の努力をお願いしたい」と強調した。
連合の神津里季生会長も同日夕に講演。労使双方のトップが交渉の考え方を示し、2016年春闘が本格化する。フォーラムは26日まで。
春闘の争点は月例賃金を引き上げるベースアップ(ベア)の在り方。3年連続で賃上げを呼び掛ける経団連も、昨年までとは異なり、今年はベアにこだわらず、賞与や手当なども含め、年収ベースで昨年実績を上回ることを目指している。
これに対し、連合はベアにこだわった要求をしていく方針。ベアで2%程度、定期昇給2%と合わせ計4%程度の賃上げを目標として掲げる。アベノミクスの恩恵が大企業に偏りがちな中、中小企業における賃上げを広げることで格差是正を求めていく。
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■「持続」が将来の希望 連合の神津里季生会長
今年の春闘は、中小企業の賃上げや非正規労働者の待遇改善に取り組む「底上げ春闘」を目指していく。
今年の闘争方針のキーワードはまず持続性だ。過去2年間賃上げはあったが、デフレ脱却にはつながっていない。賃上げが今後も持続することが将来に希望を持てることになり、経済の好循環につながる。
次に月例賃金だ。賃金の中で個人消費の拡大に影響するのは圧倒的に月例賃金。デフレ脱却に向け、引き上げが必要だ。
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■デフレ脱却宣言の年 経団連の榊原定征会長
日本経済の基調はアベノミクスで緩やかながら着実に回復しており、今年こそデフレ脱却宣言の年にしなくてはならない。経済界としても、景気の好循環の歯車を力強く回していく取り組みが必要だ。
とりわけ、収益が拡大している企業には、年収ベースの賃金について昨年を上回る引き上げとなるように前向きで、踏み込んだ検討をお願いしたい。
労使交渉では徹底的に議論し、双方が納得できる着地点を見いだしてもらいたい。