ほとばしる水源に手をのばすと、足元に2匹の子犬がじゃれついてきた。まだ生後1カ月ほどだろうか。水がほしくてきゅんきゅん鳴くが、人々は目もくれない。「この水がなければ、こんなところで農業はできませんよ」。イスラエルとの間にある水問題だ。水資源が乏しいこの土地で、パレスチナ人の深刻な水不足は恒常的に続いているという。
下から見上げたのと上から見下ろすの。視点を変えただけでずいぶん違う風景が見えるものだ。段々畑のその下を、6両編成のイスラエル鉄道はゆっくり横切っていった。
■取材協力:JICAパレスチナ事務所
■江藤詩文(えとう・しふみ) 旅のあるライフスタイルを愛するフリーライター。スローな時間の流れを楽しむ鉄道、その土地の風土や人に育まれた食、歴史に裏打ちされた文化などを体感するラグジュアリーな旅のスタイルを提案。趣味は、旅や食に関する本を集めることと民族衣装によるコスプレ。現在、朝日新聞デジタルで旅コラム「世界美食紀行」を連載中。ブログはこちら