坂と文学のまち・広島県尾道市のアーケードに時ならぬ人だかり。輪の中心は近所の美容室に飼われているメス猫、ララです。なぜ人気なのかって? もちろん理由があります。
昨秋、猫目線で街を散策するキャットストリートビューを県の観光サイトで公開したところ、サイトへのアクセスが1週間で130万PVを超えました。ララはその案内役です。カメラを怖がった猫の代役で登板した彼女。初撮影にも動じず、レンズを向けるとポーズを取るなど才能を発揮、現在県の路地裏観光課長です。
ストリートビューにはララ以外の猫も登場します。観光客が来ることがなかった店に人を呼び、売り上げに貢献する文字通りの「招き猫」もいます。
「尾道の猫」には約20年の歴史があります。市在住の芸術家園山春二さんが市内の路地を「猫の細道」と名付けて紹介したのがきっかけです。園山さんは丸石に猫の顔を描いた「福石猫」を制作し、招き猫を集めた美術館も開館させました。
寝ていれば無理に起こさない、撮影前には声をかけるなどマナーを観光客に教える園山さん。今は猫の共同墓地を計画しているそうです。路地で会う猫たちの自然なしぐさから尾道の人たちの気持ちが伝わります。
<プロフィル>
にしむら・まさゆき 岩手朝日テレビ、長崎国際テレビ出身。主に報道番組を担当、現在戦争体験の証言映像の制作などを手掛ける。
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