そんな直系家族文化の日本において、女性の地位は意外と高いものであった。直系家族における最強の存在、それは姑だ。女は、家父長制度という言葉に反して、家の外に出ることはなかったものの、家の中にあっては権勢を誇っていた。こうなると、そもそも女性とは弱い存在だったのかという疑問が生じてくるだろう。
近現代の日本において、一度だけ女性の社会的地位が急激に向上した時期がある。それは戦争中だ。第二次世界大戦中、男が戦争に行き、働き手がいなくなったために女は家の外へ出かけて働くことになった。立派な労働力として社会に迎え入れられた女性だが、戦争が終わると再び家に連れ戻されてしまう。
男女の力関係が逆転するときとは
しかし、権威主義的な直系家族の父親が力を持ち、女性の権利を剥奪して家に留め置くことができた時代は静かに終わりを迎える。70年前の男たちは国のために死ぬという役割を与えられることで威厳を保っていた。