【ストレス社会で働く(2)】光トポグラフィー検査で鬱診断 問診を補完する客観的データ (2/2ページ)

2016.3.9 12:00

モニターを見ながら光トポグラフィー検査を受ける男性=東京都新宿区西新宿の新宿ストレスクリニック

モニターを見ながら光トポグラフィー検査を受ける男性=東京都新宿区西新宿の新宿ストレスクリニック【拡大】

 男性は心理士による1時間近くに及ぶ問診を受けた後に検査室に入った。軽く頭皮に接触して血流を計る端子がいくつも付いたヘッドギアを装着し、モニターの前に座る。特定の50音で始まる言葉、例えば「い」で始まる言葉を尋ねられ、「石」「岩」などと答えていき、検査は3分間ほどで終了する。

 しばらくすると診察室に呼ばれ、結果を聞いた。血流をグラフ化した波形によって健常者、鬱病、双極性II型障害(躁鬱病)、統合失調症を判別するが、男性は昨年11月に受けた診断の通り、鬱病と診断された。

 「石」「岩」などと言葉を考えたときにモードが切り替わり、活発化した脳に新たな血液が送り込まれるのだが、グラフを見ると、男性の波形は健常者と比べてピークが半分以下と山が小さかった。

 同クリニックの川口佑院長はグラフを指し示しながら「側頭部は山がきれいに出てますので、生活のレベルをそこまで落としているとは思いませんが、鬱病の波形パターンが出ていますね」と告げた。鬱病との診断結果にも男性の表情にはとくに変化はなかった。

 記者も鬱症状と診断された後に光トポグラフィー検査を受けた経験があり、その際に新型鬱とも呼ばれる双極性II型障害との診断を受け、とても驚いた記憶がある。結果を知らされたときの反応の違いに鬱病と新型鬱が異なることを実感した。

 とくに反応を示すことなく淡々と医師の説明を聞いていた男性だったが、大きな決断を下した。TMS(経頭蓋磁気刺激)治療を受けることを決めたのだ。昨年11月に鬱病の診断を受けてから、投薬に頼らずに治療してきた自らの希望に合致したことも理由のひとつという。

 次回は磁気刺激で脳を活性化するというTMS治療の現場をリポートする。

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