ところが、多くの中小・零細企業は、ベア実現のための十分な収益を確保できていないのが現状だ。各社とも「従業員の士気を落とさないためにも、賃上げを実施したい」との認識では一致しているが、「国内の自動車販売が思ったほど伸びていない」(都内の自動車用機器部品メーカー)、「取引先からの値下げ圧力が依然として強い」(都内の素材メーカー)という先行き不安を理由にベアを見送るケースも目立つ。
消費の本格回復には、働き手の約7割を占める中小企業にまで賃上げを波及させることが欠かせない。しかし、中国をはじめ海外経済の減速懸念が高まり経営側の心理が急速に悪化している点を踏まえると、中小企業の賃上げをめぐる動きは、一段と不透明感が強まりそうだ。