
バーベキューの帰り道に記念撮影する西口洋平さん(右)と長女の倖さん=平成27年夏、東京都江東区(西口さん提供)【拡大】
電話を切り、「人前で泣くわけにはいかない」とトイレにこもった。どれくらいの時間がたったのだろうか。気持ちを落ち着け、妻の明子さん(38)にも電話をかけた。感情が高ぶっていたのか、何を話し、何を言われたのかの記憶がない。でも、明子さんは取り乱すことなく西口さんの言葉を聞いてくれていたことだけは覚えている。
すぐにがんの切除手術を受けたが、リンパ節や腹膜にも転移していることが分かった。最も進行度合いの高い「ステージ4」。もはや切除は不可能だった。
会員200人超
「仕事やお金のこと、どうしよう。子供には手紙を書いておこうか」
入院中は、さまざまな心配事が頭に浮かんだ。「他の人はどうしているのだろう」と気になったが、病院や知り合いには同世代の患者はいなかった。
「皆も同じように悩んでいるはず。同世代のがん患者同士がつながれる状態をつくりたい」。そう思い、今年4月に立ち上げたのがキャンサーペアレンツだ。元同僚や友人など考えに賛同してくれた仲間の協力を得て運営している。