厚生労働省は13日、2015年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費(概算)は41兆4627億円で、過去最高を更新したと発表した。前年度と比べ1兆5000億円の増加で、伸び率は3.8%。
高齢化や医療技術の高度化に加え、薬の値段と薬剤師の技術料を合計した調剤が約6800億円(9.4%)も急増し、医療費を押し上げた。厚労省は「高額なC型肝炎治療薬の使用が15年秋以降に増えたことが影響したのではないか」と分析している。
電算処理のレセプト(診療報酬明細書)の集計では、15年度はC型肝炎治療薬を含む抗ウイルス剤の薬剤料が前年度から2954億円も増え、約3.5倍になった。16年度の診療報酬改定でこれらの治療薬の価格は引き下げられたが、厚労省は高額な新薬の増加を受け、適正使用に向けた指針や価格見直しの新ルール作りを始めている。
概算医療費は公的医療保険と公費、患者の窓口負担を集計したもの。15年度の1人当たり医療費は前年度から1万3000円増え32万7000円。75歳未満が9000円増となる22万円、75歳以上も1万7000円増の94万8000円と大きく膨らんだ。
診療別では、調剤が7兆9000億円と大幅に伸び、外来と調剤で22兆1000億円と全体の53.3%を占めた。入院が16兆4000億円(39.5%)、歯科は2兆8000億円(6.8%)だった。
都道府県別の総額では、東京が4兆3891億円で最も高く、大阪(3兆1848億円)、神奈川(2兆5433億円)が続いた。最も低かったのは鳥取の2078億円。