
弟192臨時国会が召集され、衆院本会議で所信表明演説する安倍晋三首相=26日午後、国会・衆院本会議場(宮川浩和撮影)【拡大】
安倍晋三首相は26日の所信表明演説で、第3次再改造内閣で「最大のチャレンジ」と位置付ける働き方改革について「働く人の立場に立った改革、意欲ある皆さんに多様なチャンスを生み出す労働制度の大胆な改革を進める」と述べ、改めて意欲を示した。27日に初会合を開く「働き方改革実現会議」は来年3月までに実行計画を策定する予定だが、労使合意が基本の問題だけに、政府の思惑通りに進むかは不透明だ。
所信表明では、働き方改革の具体例として「長時間労働の是正」と「同一労働同一賃金の実現」を冒頭に掲げたが、ともに企業側の抵抗感が強い課題だ。過度の残業を前提とした人員配置を行っている企業にとって残業規制は人手不足を招きかねないほか、「同一労賃」の実施に伴う非正規社員の賃上げは人件費の高騰につながる可能性がある。
実現会議は、まず柔軟な働き方や高齢者雇用の促進といった労使が合意しやすい項目から検討を始め、難航が予想される「長時間労働」と「同一労賃」を年末以降に重点的に議論する方針。経団連の榊原定征会長や連合の神津里季生会長ら労使のトップをメンバーに加えており、一気に合意形成に持ち込みたい考えだ。
ただ、政府の働きかけが奏功するかは見通せていない。「同一労賃」をめぐっては、今年3月に発足した有識者会議が、どういう場合に正社員と非正規社員の格差が不合理なのかを示した「指針」の年内取りまとめへの議論を進めている。一方、「長時間労働」は、厚生労働省の有識者会議が今月9日に初会合を開いたばかりだ。安倍首相は所信表明で「可能なものから速やかに実行し、1億総活躍の未来を切り拓(ひら)く」と強調したが、実現会議の議論の行方次第では尻すぼみに終わる恐れもある。(桑原雄尚)