もう1つが、「マクロ経済スライド」。スライド調整率はマイナス0.9%である。数値の根拠について、政府は「社会情勢に合わせて自動的に調整する」としているが、「複雑すぎて誰にもわからない」(北村氏)。
とにかく2.3%から1.4%が減らされ、年金額の上昇率は「プラス0.9%」となる。このため2015年4月分の国民年金支給額(満額、1人分)は、前年よりも月額608円増えた。
注意すべき点は、年金の名目額は増えているが、実質的な価値は下がっていることだ。
「賃金の上昇率が2.3%なのに対して、年金の伸び率はわずか0.9%。名目額は上がっても、実質価値は1.4%下がっていることになります。アベノミクスは物価上昇率2.0%が目標です。それが毎年続けば、10年後に物価は20%以上も上がる。しかしマクロ経済スライドによって、年金額が毎年1.1%しか上がらなければ、10年後には年金の実質価値が1割以上も目減りすることになる。いまの年金額を前提にすると、間違いなく老後破綻します」
50歳以上からの「株式投資」はNG
みずほ総合研究所の試算によると、40年間働く会社員の夫と専業主婦の妻のケースで、現在50歳で年収500万円の世帯では、65歳時点の年金月額は政府の「標準シナリオ」で22.7万円、「低成長シナリオ」では20.9万円だ。年齢を重ねるごとに年金額が引き下げられると試算されている。