早期受験は、富裕層の親が自分の子どもに、高い地位や財産を巧みに「密輸」する装置として機能しているのではないか。早い段階から私立校に行かせるには、お金がかかりますからね。90年代の初頭でしたか、この問題が認識され、私立校からの東大入学者の枠を制限しようという議論があったほどです。詳細は、苅谷剛彦教授の『大衆教育社会のゆくえ』(中公新書)という本を読んでいただければと思います。本連載の第9回記事でも、ちょっとばかり触れています(http://president.jp/articles/-/17938)。
中央区の子供の3割は、視力0.3未満
私も東京暮らしが長くなりましたが、夜の電車で、分厚い参考書を食い入るようにして眺めている小学生をよく見かけます。中学受験をするため、塾通いをしているお子さんでしょう。
目が悪くなりはしないかと心配になりますが、統計でみるとこれが当たってしまっている。中学受験が浸透している地域では、目が悪い子どもが多いのです。図3は、国・私立中学進学率と小学校6年生の近視率の相関図です。近視率とは、裸眼視力が0.3未満の児童の割合を意味します。
2つの指標の間には、+0.8343もの相関関係があります。中央区では、3割近くが視力0.3未満なのですね。眼鏡をかけている児童も、さぞ多いことでしょう。食生活の乱れ(夕食をいつもファストフードなどで済ます)や運動不足による、肥満の増加も懸念されます。早期受験をさせるご家庭では、お子さんの健康に気を配っていただきたいと思います。頭が訓練されても、「カラダ」が蝕まれては何にもなりません。