さらに与党が昨年12月8日に発表した2017年度税制改正大綱では、「居住用超高層建築物に係る課税の見直し」として、建物全体の「固定資産税額」を按分する際に、「階層別専有床面積補正率」を導入し、税額を、高層階ほど高く、低層階ほど低くする方針が示された。
対象は階数にして20階以上、高さ60m超の居住用建物となっており、タワーマンションを想定している。また、階層による税額の差違はつけるものの、1棟全体の税額は従前と変わらない。さらに、原則として2017年4月1日以降に販売される新築物件が適用対象になるとしている。
この改正で注意しなければならないのは、「固定資産税額計算の際に補正を行う」のであって、税額計算の前提となり、相続税評価に影響する「固定資産税評価」や、「相続税評価」そのものにメスを入れるものではないということである。
本大綱に基づく税制改正は、3月にも国会で可決成立が見込まれるが、タワーマンションに対する今回の改正を手始めに、相続税に対しても、今後、改正が行われる可能性もないではない。この点、国税庁や政府与党の動きを、これからも注視する必要があるだろう。
藤宮 浩
フジ総合グループ(株式会社フジ総合鑑定/フジ相続税理士法人)代表
株式会社フジ総合鑑定 代表取締役
埼玉県出身。1993年、日本大学法学部政治経済学科卒業。95年、宅地建物取引主任者試験合格。2004年、不動産鑑定士試験合格及び登録。12年、フィナンシャルプランナーCFP登録。04年に株式会社フジ総合鑑定代表取締役に就任し、相続不動産に強い不動産鑑定士として、徹底した土地評価を行うことで有名。主な著書に税理士・高原誠との共著である『あなたの相続税は戻ってきます』(現代書林)『日本一前向きな相続対策の本』(現代書林)、不動産鑑定士・小野寺恭孝との共著である『これだけ差が出る 相続税土地評価15事例 基礎編』(クロスメディア・マーケティング)。セミナー講演、各種メディアへの出演、寄稿多数。
高原 誠
フジ総合グループ(株式会社フジ総合鑑定/フジ相続税理士法人)副代表
フジ相続税理士法人 代表社員
東京都出身。2005年税理士登録。06年、税理士・吉海正一氏とともにフジ相続税理士法人を設立、同法人代表社員に就任。相続に特化した専門事務所の代表税理士として、年間600件以上の相続税申告・減額・還付業務を取り扱う。セミナー講演、各種メディアへの出演、寄稿多数。
(株式会社フジ総合鑑定代表取締役 藤宮浩/フジ相続税理士法人代表社員 高原誠)(PRESIDENT Online)