
面接を待つ学生たち。大卒の内定率は近年上昇している。(時事通信フォト=写真)【拡大】
現在の景気予測や各社の採用予定人数の調査から見ると、有効求人倍率が下がる可能性は低い。そうなると18年卒の新卒採用は、今までの特徴が継続し、さらに強化されるはずだ。
就職に余裕を感じ、大手・安定志向へ
企業が採用に対して危機感を強めていく中、学生はといえば、バブル期に採用された世代を髣髴させる傾向が見られる。
大きな特徴のひとつは、内定を取ることに対する余裕感である。特に優秀でない先輩が大手企業から内定をもらったり、「就活は超余裕だった」といった話を聞いたりすることで、「それならば自分も大丈夫だろう」と考えてしまう。これは有効求人倍率が高まっている際に顕著な現象だ。
また、大手企業が求人数と採用予算を増やし、求人プロモーションを強化するようになると、より多くの学生が大手企業の情報を得る機会が増える。そのため、大手企業への憧れを持ちやすくなり、大手・安定志向が強まっていく。
このように就職環境がよくなるほど、学生の行動量は減少し、会社や仕事への理解不足が進行する。採用ツールの多様化によって、従来の「たくさん集めて、たくさん落とす」から、マッチングを重視した採用活動に移行しつつあるのに、学生が「就職」ではなく、狭い視野の「就社」志向であっては、早期離職問題も改善されまい。