
『離婚とお金 どうなる? 住宅ローン!』高橋愛子(著)プレジデント社刊【拡大】
それはSさんがウソをついていると認定されたわけではない。実は、自分にはまったく身に覚えがないことでも、債務者である元夫の支払いが止まっている時点で、離婚前に贈与されたということは、債権者に害を及ぼすと知りながら自分の財産を減少させるという「明らかな詐害行為」にあたるという見解だったのだ。
知っている、知らなかったという部分はほとんど関係ないことなのである。本当のことを話せばわかってもらえると信じていたSさんは大きなショックを受けた。
裁判は何度か行われるとのことだったが、詐害行為で判決が出てしまうと所有権が元夫に戻され、そのまま差し押さえられて、最も悪いケースでは競売になる可能性がある。それだけは絶対に避けたいとSさんは元夫の経営の悪化を知らずに贈与を受けたことを主張し、和解を申し立てることにした。
債権回収会社との和解協議バトルで……
債権回収会社との和解協議の結果、元金250万円を支払うことで延滞金は免除することで合意。250万円は何とか知人から借りて返済し、和解することができた。その後、その自宅を売却して、250万円も返済。残ったお金で税金を支払い、そのまま生活資金の貯金に充てた。
Sさんにとっては納得がいかない部分も大きかったが、和解が成立し競売が避けられたことはラッキーな結果であったともいえる。