海外取材など前例のない時代、取材の許可や謝礼の有無などすべて自己流。南極点や北極点など辺境の地、共産圏、世界屈指の文化遺産など150カ国を訪ねましたが、テーマは常にその地に暮らす人々。バーで情報を集めたり、カフェで会った人の自宅に招かれたり。ケネディ米大統領はじめ、チャールズ英皇太子、中近東の王様など多くの要人にも会いました。(著名画家の)サルバドル・ダリ宅訪問には4時間も遅刻、アフリカでは酋長(しゅうちょう)の妻にしてやるといわれて慌てて失礼したこともありました。
取材は想定外の連続ですが、私は困難に出合うと燃える性格。自分の目で見て感動し、それを言葉で伝える仕事に夢中でした。そんな旅への思いを同世代の作家、曽野綾子さんと語りあったのが本著です。私たちの体験をプロローグにご自分の旅をプロデュースしてください。(談)(1404円 秀和システム)
◇
【プロフィル】兼高かおる
かねたか・かおる 1928年生まれ。米ロサンゼルス市立大学留学後、フリージャーナリスト。テレビの海外取材番組「兼高かおる世界の旅」は長寿番組となり、多くの視聴者に親しまれた。91年紫綬褒章受章。現在、日本旅行作家協会名誉会長、淡路ワールドパークONOKORO「兼高かおる旅の資料館」名誉館長、(東京都)港区国際交流協会会長。著書に「私の好きな世界の街」ほか。