【Luxeな日本~地元発】茅葺き連なる大内宿で時間旅行気分 柳沼愛子

柳沼愛子
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  • 茅葺き屋根が並ぶ大内宿
  • ネギを箸代わりに使って食べる大内宿名物ねぎそば
  • 江戸時代の宿場町そのままの大内宿の家並み

 今も昔も訪れる人を癒す場所が福島にある。栃木県との県境、下郷町(しもごうまち)にある大内宿だ。

 周囲を山に囲まれ、「人里離れた」という表現を使いたくなるここには、茅葺(かやぶ)き屋根の建物が30軒以上立ち並ぶ。圧巻の光景に、会津若松と日光を結ぶ会津西街道の宿場町として栄えた江戸時代にタイムスリップしたかのような気分になる。

 街道沿いをのんびり歩きながら、飲食施設や土産物店を見て回る。軒先で「来てくなんしょ」と声をかけられる。会津弁での会話にも癒される。忘れてはならないのが、名物のねぎそば。1本のネギをそのまま箸代わりにして、かじりながらそばを食べる。ネギを切らない、刻まないという縁起担ぎから生まれた作法だ。

 震災で激減した観光客も年間約80万人まで回復した。「これが本物の日本」と足を運ぶ外国人旅行者も増えている。アジア系の人が多く、下郷町で外国語講座が開かれることもある。ただ、大内宿観光協会によると、インバウンドはあまり意識しないそうだ。正直、何から始めればいいか分からないと話すが、地区の風情を守らねば、という会津人気質も垣間見える。

 そう、建物だけでなく会津魂を大切に受け継ぐ地元の気概も大内宿の魅力を作っている。

 【luxe(リュクス)】 フランス語で元の意味は「贅沢」。最近は優雅で上品でありながら、洗練された贅沢なもの・ことなどの意味で使われる。

<プロフィル>

 やぎぬま・あいこ 元テレビユー福島アナウンサー。現在はTVCMに出演する一方で、webサイトコラムも執筆中

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