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この国の「言語教育」が迎える末路…専門家が直言「TOEICが日本を滅ぼす」 (4/6ページ)

 そしてその原因として、「そもそも日本語がきちんと使える人が非常に少ない」ことを挙げ、母国語教育と英語教育のあり方に同根の問題があることを指摘しています。

 本来あるべき言語教育とは、英語という特定の言語に偏ることなく、言葉そのものに対する興味をさまざまな角度から養い、母国語と外国語をよく比較観察しながら「ことばの仕組みとか動き」を理解するものであるべきだと、大津氏は言います。

 しかも、そもそも「比較観察」する前提となるのは国語力。国語力は思考と深く関連性があり、言語というものは思考した結果を表現するツールに過ぎません。だから、英語を学ぶ以前に、国語力に立脚した思考能力がなければ話にならないのです。

 外国語の能力は母国語の能力を上回ることはないが、外国語を知ることは母国語を見直す契機となり、母国語の習熟度を高めます。英語学者の渡部昇一氏はこれを「知的格闘」と呼んでいましたが、外国語を知ることは、母国語と外国語両方に望ましい教育効果が期待できるのです。

 TOEICを目的とした教育で「母国語力」が低下している

 ところが、TOEIC対策講座と化した外国語教育では、前述した通り、翻訳能力や通訳能力、そして実践的なスピーチ能力が、正しく身につくとはいえません。大津氏のいう「比較観察」も、渡部氏のいう「知的格闘」も磨かれず、外国語教育で求められる「母国語と外国語両方の習熟」という効果が期待しづらいと言えるでしょう。にもかかわらず、TOEICの点数さえよければいい、という教育を続けていれば、日本語力は磨かれず、当然ながら、日本語力を基盤とする思考力も育たない。

 同時に、英語教育における学習者のレベルダウンは、言語学的見地から言えば、紛れもなく背景に国語力の欠如と、読み書き、文法学習の軽視に原因があることはまず間違いありません。つまり、日本語教育がうまく言っていないから、英語力も育たない。

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