選択肢が増えれば増えるほど、選ぶためのプロセスにストレスがかかり、どれかを選べれば選んだで、「他の選択肢を選べば良かった」との後悔がつきまとう。心理学者も指摘する事実だ。
即ち、ある状況を素早く把握できる(ような)環境のもと、どの情報を選べば良いのかが即断できず、全体を把握できたとはなかなか確信がもてない。そのため自らの情報収集・選択能力のなさを嘆き、常にプレッシャーを感じ続ける羽目になる。
さらに「ビジョンをしっかりもて」「自分の心の声を聞け」「広い範囲に通じる判断力を鍛えろ」と追い打ちがかかる。
これは逃げ出すしかない。そんなあれもこれもと、それぞれのレベルにあったリクエストなりプレッシャーに答えられるわけがない。どうせ、言っている本人にして、それらをかなえているわけでもあるまい。
「F1人気? そんなの知るかよ。知ってどうする?」と言い返せばすむことだ。(安西洋之)
【プロフィル】安西洋之(あんざい ひろゆき)
上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『デザインの次に来るもの』『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』、共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。