喫茶店などのお客が歌謡曲や民謡を一緒になって合唱する「歌声喫茶」が今、再び人気となっている。大きな声を出すことは認知症予防など健康によいとされ、また、集まったみんなと歌声で“同士”になれる感覚が、シニア世代を中心に見直されているようだ。そんな歌声喫茶の魅力を伝えるコンサートが3月27日、アナウンサーの徳光和夫さん(77)の司会で開催される。
◆新宿の聖地で常連
徳光さんは、歌声喫茶が全盛期だった昭和50年ごろに、今でも“聖地”と呼ばれている「うたごえ喫茶ともしび」(東京都新宿区)などに通っていたという。中野サンプラザホール(中野区)で開催される「~平成よ ありがとう~徳さんと歌おう!うたごえ喫茶コンサート」に司会として参加する。
歌声喫茶の始まりは約60年前にさかのぼり、西武新宿駅前にあった食堂(「ともしび」の前身)が、そのはじまりとされている。そこで、BGMとしてかけていたロシア民謡に合わせて若者たちが歌い出した。それが客に好評で、「歌を歌える喫茶店」というコンセプトで始まったという。
歌声喫茶の人気はあっという間に広がり、昭和55年前後には東京などの都市部を中心に大流行した。その後、出現したカラオケに取って代わられ、一時人気は衰えていたが、近年になって歌うことが認知症予防に効果的などとメディアで取り上げられたことから、高齢者を中心に再び人気となっている。
◆一緒に楽しく
「昔はよく歌いに行きましたね」と話す徳光さんは、まさに歌声喫茶世代だ。「歌声喫茶は学生運動の延長線上にあったから、曲はロシア民謡が多かったりします。おなかから声を出して歌う、これが生理的に快感に結びついてるんじゃないかな。2曲ぐらい一緒に歌うとみんな同士になれるんです」。さらに、「誰がうまいとか下手とかでなく、みんなが一緒に楽しさを享受するところがいい」と、歌声喫茶の魅力について熱く語る徳光さん。