「オートファジー」の活性化で疾患抑制、長生きのヒントか 阪大が動物実験 

 体内で不要なタンパク質や病原体を分解する「オートファジー」(自食作用)の働きを活発化させることで、老化を抑制し寿命を延ばせたとの動物実験の研究結果を、大阪大の吉森保(よしもり・たもつ)教授(細胞生物学)らのチームが19日付の英科学誌電子版に発表した。健康寿命を延ばす取り組みへの応用が期待できるとしている。

 チームによると、オートファジーは加齢に伴って低下することが知られている。研究ではショウジョウバエやマウスを使い、オートファジーを抑制する「ルビコン」というタンパク質が加齢とともに増加することを発見。

 ショウジョウバエでルビコンの働きを抑えると、オートファジーが活発化して寿命が平均で約20%延び、運動機能が改善、神経変性疾患の原因となるタンパク質の蓄積も減った。ゲノム編集技術を使ってルビコンの働きをなくしたマウスでは、腎臓組織の異常が軽減、パーキンソン病の原因となるタンパク質の蓄積も低下した。

 ルビコンの量を測定したり、薬剤で働きを阻害したりできれば、加齢に伴って起きやすくなる疾患の治療につながる可能性があるという。

 オートファジーの研究では東京工業大の大隅良典栄誉教授が2016年、ノーベル医学・生理学賞を受賞しており、吉森教授は弟子。