家族葬時代の「心のケア」 お別れ会、親族や仲間と思い出話を (2/2ページ)

 葬儀やお別れ会を支援する日比谷花壇によると、開催する人たちに共通するのは「愛の深さ」だという。27年にお別れ会事業部「ストーリー」を立ち上げた鎌倉新書(東京都中央区)も、「何人集まるかよりも、主催者の思いの強さの方が重要」だという。宗教儀礼にのっとった葬儀と異なり、お別れ会は「故人や家族が何を望んでいるか」「故人はどんな人だったか」がベースにあり、遺族や友人ら主催者の希望を優先した形で行われる。

 開く時期は四十九日の前後や一周忌ごろが多く、費用は1人8千~1万5千円程度。主催者(喪主)が負担する場合もあれば、会費制で行われる場合もある。

 ◆最後は晴れやか

 死去の後、数日のうちに慌ただしく行われる葬儀とは違い、お別れ会は準備のために、長い場合は数カ月を要する。その過程で、ふさぎ込んでいた遺族が少しずつ気持ちを整理していく。お別れ会そのものはもちろん、開くまでの取り組みも遺族の悲しみをケアするものとなる。そのため会を終えると、遺族も晴れやかな笑顔に変わっている場合が多いようだ。

 「お別れ会」がまだ社会に十分浸透していないことから、戸惑う参加者は少なくない。しかし、不安な気持ちで会場入りした人も、故人の家族や懐かしい仲間と再会し、故人の思い出話をすることで、「来てよかった」「これで前に進める」と曇りのない表情で帰ることができるという。

 かつて村が総出で葬儀を行っていたころ、遺族や親しい人々の「心のケア」は葬儀の役割のひとつだった。いま、その役割はお別れ会が担いつつあるといえそうだ。(「終活読本ソナエ」 新春号から)