求愛の擬交尾をする7歳雄(上)と6歳雌のトキ。雑木林の枯れ枝に鮮やかなとき色の羽が浮かび上がった =新潟県佐渡市(キヤノンEOS-1DX MarkII EF800mm 1/800、f 5.6、ISO640)
環境省は今年1月、絶滅危惧種を分類したレッドリストで、国の特別天然記念物トキを「野生絶滅」から危険性が1ランク低い「絶滅危惧1A類」に変更した。野生復帰が順調に進んでいると判断したことから、平成10年の指定以来、21年ぶりの見直しとなった。
新潟県・佐渡島には約350羽のトキが生息している。今年の繁殖期は最多の100組以上(昨年は77組)がペアになると予想され、モニタリングチームは巣の確認に頭を悩ませている。
新潟大学の永田尚志教授は「昨年まではすべての巣を確認できたが、今年は20~30組の巣を見逃す恐れもある」と話す。理由は個体数が増加し、生息地が、島内の広範囲に広がったためだ。今後、予想もしない地域での営巣もあり得る。
初放鳥からトキの観察を続けている日本野鳥の会佐渡支部長の土屋正起さんは「今年は見落としてしまう巣も多いだろうが、一羽でも多くのヒナに個体識別用の足輪を付けることが肝心だ」と考える。
生存率や生息数など、足輪から得られるデータは計り知れない。放鳥したトキには装着しているが、野外生まれのヒナには調査員が営巣木に登り、取り付けなければならない。ヒナに足輪を装着できる時期は短く、巣の早期発見が必要だという。
そこで重要となるのが市民からの目撃情報だ。トキ目撃情報専用フリーダイヤル(0120・980・551)が設けられ、昨年も複数の巣が市民情報で確認されている。
土屋さんは「トキが同じ林へ頻繁に出入りしたり、巣材となる木の枝や枯れ草などを運び込んだりしているところを見たら、連絡してほしい」と呼びかけている。(写真報道局 大山文兄)
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