ローカリゼーションマップ

無意識に使う比喩に疑問 テクノロジーが「言葉と文化」に与える影響 (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 「OSを変える」「解像度をあげる」という比喩は、ぼく自身も初めて聞いたときは、気の利いた表現だと感心した。しかしながら、あまりに多くの人が無意識に使っているのに接し、だんだんと別の想いが浮上してきた。

 このように使う言葉が変化していくのに良い悪いもないが、ある程度はこの変化に自覚的になるのが良いのではないか。

 こんなにテクノロジーの言葉に発想を頼りきっていいのか、と。

 比喩がその社会に生きる人たちのメンタリティを表現する記号であるとすれば、この比喩が成立する背景を軽く見過ぎてもいけない。

 つまりビジネスやテクノロジーの比喩に依存する割合が高くなると、それだけ人々を比喩とする土壌を忘れていくことになる。

 時代の空気にうまくのせた表現をしたつもりであったことが、実は人々がもつ大きな財産を散逸させることになるかもしれない。やや大げさかもしれないが。

 こう書きながら、今さら何を言っているのか、と自問自答しないでもない。こんなこと、大昔から散々言われていることではないか。

 しかしながら、このテーマに一言触れておきたい気分なのだ。

▼【ローカリゼーションマップ】のアーカイブはこちら

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
Instagram:@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus